地域限定旅行業務取扱管理者とは?扱える範囲と取るべき人

地域限定旅行業務取扱管理者の扱える範囲と取るべき人を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本旅行業協会(JATA)・全国旅行業協会(ANTA)などの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・法令は変更されることがあるため、最新の情報は各試験の実施機関のサイトで確認してください。

地元で体験ツアーを始めたい、観光の仕事で旅行の資格を取りたい。そう考えて調べると、地域限定旅行業務取扱管理者という資格が出てきますよね。

結論から言うと、地域限定旅行業務取扱管理者は、営業所のある地域の旅行だけを扱う営業所で責任者になれる国家資格です。扱える範囲が狭い代わりに、試験科目も国内より絞られています。

この記事を読むと、「隣接市町村まで」という範囲の考え方と、自分の事業が地域限定で足りるかの判定、国内へのステップとしての使い方が分かります。

目次

地域限定旅行業務取扱管理者とは?地元の旅行を扱う営業所の責任者

先に結論

地域限定旅行業務取扱管理者は、地域限定旅行業者などの営業所で、拠点区域の旅行業務を扱う場合に管理者として選任できる資格です。体験・交流型の旅行商品の企画・販売を想定して作られました。

『地域限定って、国内の簡単なバージョンなの?』と思う方も多いはずです。

実は、目的のはっきりした資格なんです。観光庁によると、地域の体験・交流型の旅行商品を企画・販売する事業を想定して創設されました。

平成30年1月施行の「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」で作られ、試験は平成30年度から始まっています。総合・国内と比べると、まだ新しい資格です。

3種類の中での位置づけ

旅行業法第11条の2第6項では、営業所が扱う旅行の範囲によって、選任できる管理者が決まっています。

営業所が扱う旅行総合の合格者国内の合格者地域限定の合格者
海外旅行を扱う選任できるできないできない
国内旅行だけを扱う選任できる選任できるできない
拠点区域の旅行だけを扱う選任できる選任できるその地域の分なら選任できる

地域限定の合格者が管理者になれるのは、表のいちばん下の行だけです。逆に言うと、扱う旅行が拠点区域の中に収まる営業所なら、地域限定でも足ります。

3種類の資格の全体像は、旅行業務取扱管理者とはでまとめています。

地域限定が向いている人・向いていない人

地域限定は、取る人の目的がはっきりしているほど活きる資格です。自分がどちらに近いか、比べてみてください。

地域限定が向いている人
  • 地元の体験ツアーや着地型の旅行を自分で始めたい
  • 宿泊施設や観光の仕事で、地域の旅行商品を扱いたい
  • まず範囲の狭い試験で、旅行業法や約款の基本を学びたい
地域限定だけでは足りない人
  • 県外や遠方への旅行も扱いたい
  • 旅行会社の一般的な営業所で管理者を目指したい
  • 海外旅行の仕事に関わりたい

足りない側に当てはまる方は、国内旅行業務取扱管理者とはも読んでおくと、どちらを受けるか決めやすくなります。

管理者がする仕事は、ほかの種類と同じ

扱う範囲は狭くても、管理者としての役割はほかの種類と変わりません。取引条件の説明、契約書面の交付、旅行の広告、苦情の処理などが正しく行われているかを管理・監督します。

旅行業法では、営業所ごとに1人以上の管理者を選任することになっています(第11条の2)。何人必要かのくわしい決まりは、旅行業務取扱管理者の選任義務で紹介しています。

「隣接市町村まで」とは?拠点区域を地図でイメージする

拠点区域は「営業所のある市町村と、その隣の市町村まで」が目安

法律では、営業所の所在する市町村の区域など、国土交通省令で定める地域を拠点区域と呼びます。観光庁は、主たる営業所の所在地の隣接市町村までの範囲と説明しています。

『隣接市町村まで、と言われてもピンとこない…』という方もいますよね。地図を思い浮かべてみると分かりやすくなります。

例えば、ある町に営業所があるとします。その町と、境界を接している隣の市や町までが、拠点区域の目安です。

営業所のある町を中心に、境界を接する隣の市町村までを拠点区域として塗り分け、その外側は対象外になることを示した地図風の図解

範囲の内と外を、ツアーの例で考える

同じ営業所でも、ツアーの行き先によって範囲の内側か外側かが変わります。

ツアーの例拠点区域の内か外か地域限定で扱える?
営業所のある町の中だけで行う農業体験内扱える
隣の市の温泉と、地元の町をめぐる日帰りツアー内扱える
隣の市のさらに先の市まで足をのばすツアー外扱えない(国内か総合が必要)
海外からの旅行者を、地元の町だけ案内するツアー内(行き先が地元だけの場合)行き先で判断する

ポイントは、お客様がどこから来るかより、ツアーの行き先がどこかです。迷った時は、行き先の市町村を地図に書き出してみてください。

細かい範囲は公式で確かめる

拠点区域は国土交通省令(施行規則第10条の5)で決められています。自分の事業が当てはまるか迷ったら、観光庁や登録先の窓口で確かめておくと安心です。

どんな事業なら地域限定で足りる?判定表

判断の軸は「扱う旅行が拠点区域の中に収まるか」

観光協会・宿泊施設・体験ツアーの事業者など、事業の種類だけでは決まりません。扱う旅行の行き先が拠点区域の中だけなら、地域限定の合格者を管理者にできます。

『うちの事業なら地域限定で大丈夫?』と気になる方のために、よくある事業の形で判定表を作りました。

事業の形扱う旅行の範囲管理者に必要な資格の目安
地元の自然体験ツアーを企画・販売する事業者地元と隣の市町村まで地域限定で足りる
宿泊施設が、宿泊とセットで周辺の体験を販売する地元と隣の市町村まで地域限定で足りる
観光協会が、地域の着地型ツアーを販売する地元と隣の市町村まで地域限定で足りる
地元発で、県外の観光地へ行くバスツアーを売る拠点区域の外まで国内か総合
地元の旅行と海外旅行の両方を扱う海外旅行を含む総合

表の「地域限定で足りる」は、扱う旅行が拠点区域に収まっている場合の話です。少しでも外に出るツアーを扱うなら、国内か総合の合格者が必要になります。

地域限定で足りるかのチェックリスト
  • 扱うツアーの行き先を、すべて市町村名で書き出した
  • その市町村が、営業所のある市町村か隣の市町村に収まっている
  • 将来、範囲の外へ行くツアーを扱う予定がない
  • 海外旅行を扱う予定がない

4つとも当てはまれば、地域限定の合格者を管理者にする形が合っています。旅行業の始め方そのものは、旅行業を始めるにはで紹介しています。

地域限定で事業を始めるまでの流れ

地元の旅行を扱う事業を始める時は、資格と事業の準備を並べて進めることになります。大まかな流れは次のとおりです。

事業を始めるまでの流れの例
  1. 扱いたいツアーの行き先を決め、拠点区域に収まるかを確かめる
  2. 営業所の管理者を誰にするかを決める(自分が受けるか、合格者を迎えるか)
  3. 管理者になる人が地域限定の試験を受けて合格する
  4. 旅行業の登録の手続きを、観光庁や登録先の窓口で確かめて進める
  5. 営業所ごとに管理者を選任し、選任後は5年ごとの定期研修を受ける

旅行業・旅行業者代理業を営むには、観光庁長官の登録が必要です(旅行業法第3条)。営業所ごとに管理者を確実に選任すると認められない場合は、登録が拒否されることもあります(第6条第1項第9号)。

事業を広げる予定があるなら、先を見て選ぶ

最初は地元のツアーだけでも、数年後に範囲を広げたくなることもありますよね。その時は、管理者の資格も国内か総合が必要になります。

資格を選ぶ前に、こんな会話を事業の仲間としておくと安心です。

「5年後も、地元と隣の町だけのツアーでいく?」
「隣の県の観光地まで行くツアーも、いずれやりたいね。」

後者の答えが出たなら、国内まで見すえて準備しておく価値があります。

範囲を広げる予定が少しでもあるなら、最初から国内を目指すのも1つの考え方です。地域限定に合格しておくと、次に説明するように国内の法令が免除になります。

地域限定旅行業務取扱管理者の試験の中身と日程

3科目で、国内より範囲が絞られている

科目は法令・約款・国内旅行実務の3つです。ただし約款からは航空運送に係る運送約款が、国内旅行実務からは航空運送に係る料金と本邦内の地理などが除かれています。

『国内と同じ3科目なら、勉強量も同じ?』と思いますよね。名前は同じでも、出題の範囲が狭くなっているんです。

比べる点地域限定(令和8年度)国内(令和8年度)
実施機関観光庁全国旅行業協会(ANTA)
試験日令和8年9月27日(日)令和8年9月3日(木)から25日(金)のうち選んだ日時
試験の方式マークシートCBT
試験地東京都(昭和女子大学)・大阪府(大阪成蹊大学 相川キャンパス)全国47都道府県のテストセンター
申込方法願書を簡易書留郵便で郵送のみインターネットのみ
受験手数料5,500円(収入印紙)8,000円+システム利用料660円
約款航空運送の運送約款を除く除かれる部分なし
国内旅行実務航空運送の料金と本邦内の地理などを除く除かれる部分なし

日程は毎年変わる可能性があります。最新の日程は、観光庁の受験案内で確かめてみてください。

令和7年度の配点と合格基準

地域限定は、科目ごとに満点と合格基準が国内と違います。令和7年度(全科目)の配点と合格基準は次のとおりでした。

科目配点合格基準
法令100点(4点×25問)60点以上
約款96点(4点×24問)58点以上
国内旅行実務40点(4点×10問)24点以上

3科目すべてで基準を超える必要があります。国内旅行実務は40点と小さいものの、ここで基準に届かないと合格できないので油断しないでおきましょう。

試験の勉強の仕方は、地域限定旅行業務取扱管理者試験とはでくわしく紹介しています。

国内用の教材を使う時の読み分け

地域限定だけを扱う教材は多くないので、国内用のテキストで勉強する人もいます。その場合は、試験に出ない部分を先に把握しておくと時間を節約できます。

国内用テキストの章地域限定での扱い
旅行業法出題される(法令)
標準旅行業約款・宿泊約款・鉄道やバスの運送約款出題される(約款)
航空の運送約款除かれている
鉄道・バスなどの運賃・料金出題される(国内旅行実務)
航空の運賃・料金除かれている
国内の地理除かれている(本邦内の地理など)

除かれている章は、国内まで受ける予定がなければ後回しにして大丈夫です。国内も目指すなら、地域限定の合格後にあらためて取り組むという順番もあります。

願書は郵送だけなので、早めに準備する

地域限定の申込みは、インターネットではなく郵送です。令和8年度の流れはこうなっていました。

申込みの流れ(令和8年度)
  1. 観光庁所定の受験願書(A4片面)を用意する
  2. 縦4.5cm×横3.5cmの写真を貼る
  3. 5,500円分の収入印紙を貼る
  4. 7月6日から7月31日(消印有効)の間に、簡易書留郵便で送る
  5. 9月7日(月)予定で届く受験票を確かめる
よくある失敗

願書は持参できず、簡易書留郵便だけが受け付けられます。普通郵便で送ってしまわないよう、郵便局の窓口で出すようにしておきましょう。

合格率と、国内・総合へのステップとしての使い方

令和7年度の合格率は49.0%

観光庁の実施状況では、令和7年度は受験者643人のうち315人が合格し、合格率は49.0%でした。申込者も、令和5年度の448人から令和7年度の769人へ増えています。

年度申込者受験者合格者合格率
令和5年度448人377人153人40.6%
令和6年度666人546人231人42.3%
令和7年度769人643人315人49.0%

令和7年度に全科目を受けた人の合格率は48.1%でした。国内の令和7年度の合格率35.6%と比べると、高めの数字です。

『合格率が5割近いなら、簡単なのかな?』と思う方もいるかもしれません。ただ、地域限定と国内は出題の範囲も受ける人の顔ぶれも違うので、数字だけで難しさを比べるのは難しいんです。

受験者は令和7年度で643人と、国内の10,329人に比べると少人数です。試験地も東京と大阪の2か所なので、遠方の方は移動の計画も含めて準備しておきましょう。

地域限定に合格すると、法令が免除になる

地域限定の合格者は、国内と総合の試験で法令(総合では業法)が免除になります(施行規則第20条)。

次に受ける試験地域限定の合格者の受け方
国内免除B(法令免除)で、約款と国内旅行実務を受ける
総合区分G(業法免除)で、約款・国内旅行実務・海外旅行実務を受ける

地域限定から始めて、国内、総合と段階的に進む道もあります。まず地元の事業に必要な資格を取り、範囲を広げたくなったら次に進む、という使い方です。

地域限定に合格した後、法令の免除を使って国内、さらに総合へと進むステップを階段状に示した図解

前年度の国内旅行実務が合格点なら、翌年は免除

地域限定の試験には、免除1と免除2があります。免除1は、前年度(令和8年度なら令和7年度)の地域限定試験で国内旅行実務の合格点を取った人が対象です。

免除2は、令和7・8年度の地域限定旅行業務取扱管理者研修(ANTA)を修了した人が対象です。どちらも試験時間は80分になります。

独学でいくか、講座を使うか

地域限定は範囲が絞られているので、国内用のテキストを使いながら独学で進める人もいます。その場合は、除かれている航空運送や国内地理の部分を読み分ける必要があります。

国内まで見すえて勉強したい方は、講座の資料で国内と地域限定の対応範囲を見比べておくと判断しやすくなります。テキストの選び方は地域限定旅行業務取扱管理者のテキストで紹介しています。

旅行業務取扱管理者ガイド

講座を使って効率よく合格を目指したい方へ

旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。

無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る

試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。

地域限定旅行業務取扱管理者でよくある相談

多いのは「この事業で使えるか」と「国内と一緒に受けられるか」

地域限定を考えている人の相談でよく見かけるテーマに答えます。

地元で星空のツアーをしたい。地域限定で足りる?

地域限定の資格を取って、地域で星空を見てもらうツアーを考えている、という相談です。

判断の軸は、ツアーの行き先が拠点区域に収まるかどうかです。星空を見る場所が、営業所のある市町村か隣の市町村なら、地域限定の合格者を管理者にする形が考えられます。

まずは、こんなふうに書き出してみてください。

  • 「星空を見る場所は、どの市町村にある?」
  • 「集合場所やお客様を案内する立ち寄り先は、どの市町村?」

すべてが拠点区域に収まるかを確かめたうえで、登録の手続きは観光庁や登録先の窓口で確認しておくと安心です。

地域限定と国内を、同じ年に両方受けられる?

地域限定と国内の試験を、同じ年度にどちらも受けられるか、という相談です。

令和8年度で見ると、国内は9月3日から25日の間、地域限定は9月27日で、日程は重なっていません。どちらも受験資格の制限はありません。

ただ、申込方法は国内がインターネット、地域限定が郵送と別々です。両方を考えるなら、それぞれの受験案内で締切を確かめてから準備してみてください。

地域限定旅行業務取扱管理者は国家資格?

地域限定の資格も国家資格なのか、という相談です。

国家資格です。旅行業務取扱管理者試験は旅行業法にもとづいて観光庁長官が行う試験で、地域限定はその3種類の1つです。

地域限定の試験は、総合や国内と違い、観光庁が直接実施しています。国家資格としての位置づけは、旅行業務取扱管理者は国家資格?でくわしく紹介しています。

よくある質問

地域限定旅行業務取扱管理者とは、どんな資格ですか?

営業所のある地域(拠点区域)の旅行だけを扱う営業所で、旅行業務取扱管理者として選任されるための国家資格です。体験・交流型の旅行商品の企画・販売を想定して作られました。

地域限定旅行業務取扱管理者の資格で、国内旅行全体を扱えますか?

扱えません。拠点区域の外へ行く旅行を扱う営業所では、国内か総合の合格者が管理者になる必要があります。

試験はどこで受けられますか?

令和8年度は東京都(昭和女子大学)と大阪府(大阪成蹊大学 相川キャンパス)の2か所でした。

合格発表はいつですか?

令和8年度は11月13日(金)の予定です。本人に郵送で通知されるほか、観光庁のサイトに合格者の受験番号が掲載されます。

地域限定に合格すると、国内試験で免除はありますか?

国内試験の法令が免除になります(免除B)。約款と国内旅行実務の2科目を受けます。

まとめ

この記事の要点
  • 地域限定旅行業務取扱管理者は、拠点区域の旅行だけを扱う営業所の管理者になれる国家資格
  • 拠点区域は、主たる営業所の所在地の隣接市町村までが目安
  • 地域限定で足りるかは、事業の種類よりツアーの行き先が拠点区域に収まるかで決まる
  • 令和7年度の合格率は49.0%で、試験は観光庁が実施し、申込みは郵送だけ
  • 合格すると国内と総合で法令が免除になり、次のステップに進みやすい

制度の説明は、観光庁の地域限定旅行業務取扱管理者試験のページでも確かめられます。

まずは扱いたいツアーの行き先を市町村名で書き出して、拠点区域に収まるかを確かめてみましょう。

旅行業務取扱管理者ガイド

旅行業務取扱管理者ガイド 編集部

総合・国内・地域限定の旅行業務取扱管理者試験の仕組み、合格率と科目ごとの対策、過去問や講座を使った勉強法、資格を仕事に活かす方法までを、はじめて受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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