旅行業の開業に旅行業務取扱管理者は必要?登録との関係

旅行業の開業と旅行業務取扱管理者の関係を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本旅行業協会(JATA)・全国旅行業協会(ANTA)などの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・法令は変更されることがあるため、最新の情報は各試験の実施機関のサイトで確認してください。

小さくてもいいから自分で旅行業を開業したい。でも、旅行業務取扱管理者の資格がないと始められないのかが分からない。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、旅行業を始めるには登録が必要で、営業所ごとに管理者を確実に選任できないと登録を拒否されます。自分が資格を取るか、資格を持つ人を管理者に選任するかのどちらかが要るんです。

この記事を読むと、登録と管理者の関係と、自分の事業に必要な資格の種類が分かります。

目次

旅行業を開業するのに、旅行業務取扱管理者は必要?

先に結論

旅行業や旅行業者代理業を営むには、観光庁長官の登録が必要です(旅行業法第3条)。そして、営業所ごとに管理者を確実に選任すると認められない人は、登録を拒否されます(旅行業法第6条第1項第9号)。

『資格がなくても、とりあえず会社を作れば始められるのでは?』と思う方もいますよね。

実は、旅行業は登録を受けないと営めない事業なんです。そして、その登録の時点で、管理者を置けるかどうかが問われます。

管理者がどんな資格なのかは、旅行業務取扱管理者とは?で全体をまとめています。

登録と選任の関係を一覧にすると

開業に関わる決まりを、順番に並べてみました。

決まり中身根拠
登録旅行業・旅行業者代理業を営むには観光庁長官の登録が必要旅行業法第3条
登録の拒否営業所ごとに管理者を確実に選任すると認められない者は登録を拒否される旅行業法第6条第1項第9号
選任営業所ごとに一人以上の管理者を選任する旅行業法第11条の2第1項
1人の営業所旅行業務を扱う人が1人だけの営業所にも当てはまる旅行業法第11条の2第3項
欠けた時管理者が全員欠けたら、新しく選任するまで契約を結べない旅行業法第11条の2第2項

つまり、「登録」と「管理者の選任」はセットで考えるものなんですね。

自分で資格を取らなくてもいい?

管理者は、資格を持つ人を選任すればよく、代表者本人である必要はありません。資格を持つ社員を管理者にして開業する形もあります。

ただ、1人で開業する場合は、旅行業務を扱う人が1人だけの営業所にも選任の決まりが当てはまります。その1人が管理者になるなら、自分で合格しておくことになりますよね。

開業までの流れは?登録と管理者の手順表

先に「何を扱うか」を決め、次に「誰を管理者にするか」を決める

開業の準備は、事業の範囲を決めることから始まります。範囲で必要な資格の種類が変わるので、ここを後回しにすると遠回りになりやすいんです。

『何から手をつければいいのか分からない』という声も多いので、開業までの流れを手順にしました。登録の細かな書類や基準は、申請先の案内で確かめてみてください。

旅行業の開業までの流れの例
  1. 扱う旅行の範囲を決める(海外も扱うか、国内だけか、地域の旅行だけか)
  2. 範囲に合わせて、必要な旅行業務取扱管理者の種類を判定する
  3. 管理者になる人を決める(自分が受験するか、資格を持つ人を迎えるか)
  4. 営業所ごとに何人選任するかを決める
  5. 登録の申請に必要な書類と、財産の基準などほかの要件を確かめる
  6. 登録を受けたあとも、定期研修や管理者が欠けた時の対応に備える
旅行業の開業までに、事業の範囲を決めてから管理者を選任し登録を申請するまでの流れを示した図解

管理者のめどが立たない時に起きること

管理者を誰にするか決まらないまま準備を進めると、登録の段階で止まってしまいます。

準備の状況起きやすいこと先にやっておきたいこと
資格を持つ人がいない管理者を確実に選任できず、登録で止まる自分が受験する計画を立てる
国内の合格者しかいない海外旅行を扱う営業所の管理者にできない扱う範囲を国内に絞るか、総合を目指す
営業所を2つ作りたい1人の管理者が両方を兼ねられない営業所ごとに管理者を用意する
管理者が1人だけ退職すると契約を結べなくなる有資格者を複数にする計画を立てる

例えば、知り合いの合格者に管理者を頼む予定で開業を考えている場面を思い浮かべてみてください。

「管理者は、名前だけ貸してもらえればいいですよね?」
「管理者は営業所で取引を管理・監督する役割なので、名前だけでは成り立ちませんよ」

管理者は営業所の実際の業務を見る人です。ほかの営業所の管理者を兼ねることもできません(旅行業法第11条の2第4項)。

よくある失敗

開業の日程を先に決めてしまい、あとから管理者の資格が足りないと気づくことがあります。試験は毎年決まった時期に行われるので、受験が必要なら試験日から逆算して計画を立てておきましょう。

総合・国内・地域限定のどれが要る?事業の範囲で判定

海外を扱うなら総合、国内だけなら国内、地域の旅行だけなら地域限定も可

どの試験の合格者を選任できるかは、営業所が扱う旅行の範囲で決まります(旅行業法第11条の2第6項)。開業の計画で、いちばん大事な判断です。

『どの資格を取ればいいの?』は、開業を考える方の多くが迷う所ですよね。やりたい事業から判定できるように表にしました。

やりたい事業選任できる管理者開業を考える時のポイント
海外のツアーも企画・販売したい総合の合格者海外旅行実務も含む試験を目指す
国内旅行だけを扱いたい総合か国内の合格者国内の試験から目指すのが近道
地元の体験型ツアーを作りたい総合・国内・地域限定(その地域に係るもの)の合格者拠点区域の旅行だけなら地域限定も使える
扱いたい旅行の範囲から、総合・国内・地域限定のどの旅行業務取扱管理者が要るかを判定する図解

地域限定は、地元の旅行だけを扱う人向け

地域限定旅行業務取扱管理者は、体験・交流型の旅行商品の企画・販売を想定して作られた資格です(観光庁)。

選任できるのは、拠点区域(主たる営業所の所在地の隣接市町村までの範囲)の旅行業務を扱う営業所です。地元の農業体験や街歩きのツアーを作りたい方には、検討しやすい選択肢ですね。くわしくは地域限定旅行業務取扱管理者とは?で紹介しています。

3つの試験の日程と手数料(令和8年度)

受験が必要な場合に向けて、令和8年度(2026年度)の試験の概要をまとめました。

試験試験日(令和8年度)受験手数料(令和8年度)実施
総合令和8年10月25日(日)13,000円(非課税)+システム利用料660円JATA
国内令和8年9月3日(木)〜25日(金)のうち選んだ日時(CBT方式)8,000円(非課税)+システム利用料660円ANTA
地域限定令和8年9月27日(日)5,500円(収入印紙)観光庁

日程は毎年変わる可能性があるので、最新の日程は各実施機関の案内で確認してみてください。年間の流れは旅行業務取扱管理者の試験日でも紹介しています。

開業の計画で確かめたいこと
  • 扱う旅行に海外が含まれるか確かめる
  • 地域の旅行だけなら、拠点区域の範囲に収まるか確かめる
  • 自分か社員が、どの試験に合格しているか確かめる
  • 受験が必要なら、試験日と合格発表日を開業の予定と並べる

開業してからも続く管理者の決まり

登録したあとも、管理者を置き続けることが前提

開業はスタートで、管理者を選任した状態を保つことが求められます。研修や欠けた時の扱いを、先に知っておくと慌てずに済みます。

『登録できたら、あとは自由に営業できる?』と思いがちですよね。実は、管理者についての決まりは開業後も続くんです。

決まり中身
定期研修選任した管理者に5年ごとに旅行業協会の研修を受けさせる。受講修了していないと更新登録の拒否事由に当たる
欠けた時管理者が全員欠けたら、新しく選任するまで契約を結べない
証明書旅行者から請求があったら、管理者は証明書を見せる(旅行業法第12条の5の2)
兼務ほかの営業所の管理者は兼ねられない(近接営業所の特例を除く)

定期研修の対象になるかどうかは、旅行業務取扱管理者の定期研修の判定表で確かめられます。営業所ごとの人数は旅行業務取扱管理者の選任義務でまとめています。

旅行業の開業でよくある相談

開業の相談は「何が必要か」と「人を頼れるか」が中心

開業についての相談では、個人で始める時の資格、名義を借りる形、外国人向けの小さなツアーの扱いがよく聞かれます。

個人で旅行業を開業したい。資格や条件は?

個人で旅行業を開業したいが、必要な書類や資格、条件を知りたいという相談です。

資格の面では、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任することが登録の前提になります。1人で始めるなら、自分が扱う範囲に合った試験に合格しておくのが現実的です。

書類や財産の基準など資格以外の要件は、登録の申請先の案内で確かめてみてください。観光庁の旅行業務取扱管理者のページも参考になります。

外国から来る人向けに、近場を回る少人数のツアーをしたい

主に海外から来る人向けに、近場を見て回る少人数のツアーを始めたいという相談です。

旅行者が外国の人でも、ツアーの行き先が国内なら、扱うのは国内の旅行です。地元の拠点区域の中だけで完結するなら、地域限定の合格者を管理者にする形も考えられます。

ただ、どこまでの行き先を扱うかで必要な資格が変わります。計画しているツアーの行き先を書き出して、判定表に当てはめてみてください。

自分の車で市内観光を案内する企画にも登録が要る?

自分の車を使った日帰りの市内観光を企画したいが、旅行業の登録が必要なのか、という相談です。

登録が必要かどうかは、何を手配し、どう料金を受け取るかといった事業の中身で変わります。この記事だけで一律に判断するのは難しいので、計画の内容をまとめて登録の申請先に相談してみてください。

もし登録が必要と分かったら、その時点で管理者の選任も必要になります。地元の範囲だけの企画なら、地域限定の資格が候補に入りますよ。

独学でいくか、講座を使うかの考え方

開業を目指す方は、本業の準備と試験勉強を同時に進めることが多いですよね。法令の科目は、開業後に守る決まりそのものなので、学んだことがそのまま役立ちます。

独学で合格を目指す方もたくさんいます。ただ、開業の日程が決まっていて計画どおり進めたい方は、講座の資料を見比べてから決めると安心です。

旅行業務取扱管理者ガイド

講座を使って効率よく合格を目指したい方へ

旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。

無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る

試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

旅行業務取扱管理者がいないと旅行業は開業できませんか?

営業所ごとに管理者を確実に選任すると認められない人は、旅行業の登録を拒否されます。開業には管理者のめどを立てておく必要があります。

代表者自身が資格を持っていないといけませんか?

代表者本人である必要はなく、資格を持つ人を管理者に選任すれば足ります。ただ、1人で開業するなら、その1人が合格していることが前提になります。

国内旅行業務取扱管理者だけで開業できますか?

国内旅行だけを扱う営業所なら、国内の合格者を管理者に選任できます。海外旅行を扱うなら、総合の合格者が必要です。

旅行業者代理業として開業する場合も管理者は必要ですか?

必要です。選任の決まりは旅行業者と旅行業者代理業者の両方に当てはまり、営業所ごとに一人以上の管理者を選任します。

地域限定の資格で開業するのはどんな場合ですか?

拠点区域(主たる営業所の所在地の隣接市町村まで)の旅行だけを扱う営業所の場合です。体験・交流型の旅行商品の企画・販売を想定した資格です。

まとめ

この記事の要点
  • 旅行業の開業には観光庁長官の登録が必要
  • 営業所ごとに管理者を確実に選任できないと、登録を拒否される
  • 管理者は代表者本人でなくてよいが、1人で開業するなら自分の合格が前提
  • 扱う旅行の範囲で、総合・国内・地域限定のどれが要るかが決まる
  • 開業後も定期研修や欠けた時の決まりが続く

条文を確かめたい方は、e-Gov 旅行業法で第3条・第6条・第11条の2を読んでみてください。試験で業法を押さえるなら、旅行業法対策もあわせてどうぞ。

旅行業務取扱管理者ガイド

旅行業務取扱管理者ガイド 編集部

総合・国内・地域限定の旅行業務取扱管理者試験の仕組み、合格率と科目ごとの対策、過去問や講座を使った勉強法、資格を仕事に活かす方法までを、はじめて受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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