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会社で旅行業を扱うことになり、旅行業務取扱管理者を何人選任すればいいのか調べている。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、旅行業法では営業所ごとに一人以上の管理者を選任することになっています。JATAの案内では、従業員が10名以上の営業所は2名以上とされています。
この記事を読むと、営業所ごとの人数の考え方と、管理者が欠けた時に起きること、どの資格の人を選任できるかが分かります。
旅行業務取扱管理者の選任とは?営業所に置く取引の責任者
旅行業者と旅行業者代理業者は、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任し、取引条件の説明などの業務を管理・監督させなければなりません(旅行業法第11条の2)。
『選任って、資格を持っている人がいればいいだけ?』と思う方もいますよね。
実は、選任は「この営業所の管理者はこの人です」と決めて置くことなんです。資格を持つ人が社内にいるだけでは、選任したことにはなりません。
管理者になれるのは、欠格事項に当たらず、旅行業務取扱管理者試験に合格した人です(観光庁)。資格の全体像は、旅行業務取扱管理者とは?で紹介しています。
選任に関わる決まりを一覧にすると
旅行業法第11条の2には、選任に関する決まりがまとまっています。営業所を運営する立場から見て大事な所を表にしました。
| 項目 | 決まりの中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 人数 | 営業所ごとに一人以上を選任する | 第11条の2第1項 |
| 全員欠けた時 | 新しく選任するまで、旅行業務の契約を結べない | 第11条の2第2項 |
| 1人の営業所 | 旅行業務を扱う人が1人だけの営業所にも当てはまる | 第11条の2第3項 |
| 兼務 | ほかの営業所の管理者を兼ねられない | 第11条の2第4項 |
| 近接する営業所 | 条件を満たせば1人で足りる場合がある | 第11条の2第5項 |
| 資格の種類 | 営業所が扱う旅行の範囲で、選任できる合格者が決まる | 第11条の2第6項 |
| 定期研修 | 選任した管理者に5年ごとの研修を受けさせる | 第11条の2第7項 |
管理者が営業所で実際にどんな仕事をするかは、旅行業務取扱管理者の仕事内容で詳しく見られます。
登録の時にも選任が問われる
選任は、営業を始めてからの話だけではありません。営業所ごとに管理者を確実に選任すると認められない人は、旅行業の登録を拒否されます(旅行業法第6条第1項第9号)。
つまり、管理者のめどが立っていないと、そもそも旅行業を始められないんです。開業の流れは旅行業の開業と旅行業務取扱管理者でまとめています。
営業所ごとに何人必要?「一人以上」と「10名以上なら2名以上」
旅行業法の条文は「一人以上」です。一方、JATAのよくある質問では「従業員が10名以上の営業所では2名以上」と説明しています。
ここが、いちばん迷いやすい所ですよね。『結局、うちの営業所は1人でいいの?2人なの?』という疑問です。
この2つは、同じ決まりを違う角度から説明したものと考えると分かりやすくなります。それぞれの言い方を並べてみました。
| どこの説明か | 書かれている人数 |
|---|---|
| 旅行業法第11条の2第1項 | 営業所ごとに一人以上 |
| JATA よくあるご質問 | 営業所毎に1名以上(従業員が10名以上の営業所では2名以上) |
| JATA 受験案内 | 従業員が概ね十名以上の営業所では二名以上 |
条文そのものは「一人以上」なので、最低ラインは1人です。そのうえで、JATAは従業員の多い営業所では2名以上という目安を案内しているんです。
自分の営業所はどれに当たる?
人数を考える時は、次の順で確かめてみてください。
- 営業所で旅行業務を扱う人が何人いるかを数える
- 1人だけでも、管理者は1人以上置くと考える
- 従業員が10名前後以上なら、2名以上の選任を前提に考える
- 登録の窓口になる行政庁の案内で、自社の扱いを確かめる
例えば、窓口担当が3人の小さな営業所なら、まずは1人以上が出発点です。従業員が10名を超える営業所なら、JATAの案内に沿って2名以上で計画しておくと安心ですよね。
法律の条文と協会の案内で表現が違う時は、自社の状況を登録の窓口に伝えて確かめるのが近道です。この記事は一般的な考え方の紹介なので、最終的な判断は行政庁の案内で確かめてみてください。

営業所が扱う旅行で、選任できる資格が変わる
どの試験の合格者を選任できるかは、営業所が扱う旅行の範囲で決まります(旅行業法第11条の2第6項)。人数と同じくらい大事な点です。
『国内の資格を持つ人がいるから、どの営業所でも大丈夫』と考えてしまう方もいます。ただ、海外旅行を扱う営業所では、国内の合格者は管理者になれないんです。
| 営業所が扱う旅行 | 選任できる管理者 |
|---|---|
| 海外旅行を扱う | 総合の合格者 |
| 国内旅行だけを扱う | 総合か国内の合格者 |
| 拠点区域(主たる営業所の所在地の隣接市町村まで)の旅行だけを扱う | 総合・国内・地域限定(その地域に係るもの)の合格者 |
拠点区域は、営業所の所在する市町村の区域など、国土交通省令で決められた地域です(施行規則第10条の5)。地域限定の合格者を選任できるのは、この範囲の旅行だけを扱う場合ですね。

選任する人を決める前のチェック
管理者を決める時は、資格の種類と営業所の範囲がかみ合っているかを確かめておきましょう。
- 営業所で海外旅行を扱う予定があるか確かめる
- 選任する人がどの試験に合格しているか、合格証で確かめる
- その人がほかの営業所の管理者になっていないか確かめる
- 従業員の人数から、何名選任するかを決める
- 選任後に定期研修の対象になるか確かめる
例えば、国内旅行だけを扱う営業所で、来年から海外の手配も始める場合を考えてみてください。
「来年から、海外のツアーも扱う予定です」
「それなら、総合の合格者を管理者に置く準備が要りますね」
海外を扱い始める時点で、総合の合格者が営業所にいることが前提になります。
管理者が欠けたら?兼務と近接営業所の特例
選任した管理者の全員が欠けたら、新しく選任するまで、その営業所では旅行業務の契約を結べません(旅行業法第11条の2第2項)。
退職や異動で、管理者がいなくなることは実際にありますよね。その時に何が起きるかを、場面ごとに表にしました。
| 場面 | 起きること | 考えておきたい対策 |
|---|---|---|
| 2人のうち1人が退職 | もう1人が残っていれば契約は続けられる | 人数の目安を下回らないか確かめる |
| 1人だけの管理者が退職 | 全員欠けた状態になり、新しく選任するまで契約を結べない | 有資格者を早めに育てておく |
| 別の営業所に異動 | 異動先の管理者を兼ねることはできない | 元の営業所の後任を先に決める |
| 近くの営業所も見てほしい | 原則は兼務できない。条件を満たす時だけ1人で足りる場合がある | 特例の条件に当たるか確かめる |
『1人しかいない管理者が急に辞めたら、営業を止めないといけないの?』と不安になりますよね。条文では、全員が欠けたら新しく選任するまで契約を結べないとされています。
例えば、管理者からこんな相談を受けた場面を考えてみてください。
「来月末で退職することになりました」
「後任を先に決めておかないと、営業所で契約を結べなくなってしまいますね」
だからこそ、営業所に資格を持つ人を複数置いておくと安心なんです。
近接する営業所の特例
原則として、管理者はほかの営業所の管理者を兼ねられません(第11条の2第4項)。ただ、近接する複数の営業所では、1人で足りる場合があります(第11条の2第5項)。
| 条件 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 距離 | 営業所間の距離の合計が40キロメートル以下 | 施行規則第10条の2 |
| 業務の範囲 | 地域限定旅行業務以外の登録業務範囲の場合は使えない | 施行規則第10条の3 |
| 取引額 | 複数営業所の前事業年度の旅行者との取引額の合計が1億円を超える場合は使えない | 施行規則第10条の3 |
近くの営業所なら、どこでも1人で見られるわけではありません。特例は、業務の範囲と取引額の条件を両方満たす時に使えるものです。自社が当てはまるかは、登録の窓口で確かめてみてください。
選任されたあとに続くこと
選任された管理者には、5年ごとの定期研修や、旅行者から求められた時の証明書の提示といった決まりがあります。
管理者を決めて登録を済ませたら終わり、と思いがちですよね。実は、選任したあとにも続く決まりがあるんです。
| 決まり | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定期研修 | 旅行業者等は、選任した管理者に5年ごとに旅行業協会の研修を受けさせる | 第11条の2第7項・施行規則第10条の6 |
| 証明書の提示 | 旅行者から請求があったら、管理者は証明書を見せる | 第12条の5の2 |
| 業務の管理・監督 | 取引条件の説明や契約書面の交付など10の業務を見る | 施行規則第10条 |
定期研修を修了していない場合は、更新登録の拒否事由に当たるとANTAは案内しています。直近5年以内に試験に合格した選任管理者などは対象外です。
研修の中身や対象になる人は、旅行業務取扱管理者の定期研修で詳しく紹介しています。
資格そのものに更新はない
『選任されると、資格の更新も必要になるの?』という質問もよく見かけます。
資格そのものには更新制度がなく、合格は有効のままです(ANTA)。研修が必要なのは、選任されている管理者の立場に対してなんです。
旅行業務取扱管理者の選任でよくある相談
選任についての相談は、「契約社員でもいいのか」「社長と管理者の名前が違ってもいいのか」「代理業でも支店ごとに要るのか」がよく聞かれます。
契約社員でも管理者になれる?
期間の定めがある契約社員でも、管理者として選任できるのかという相談です。
この記事で見てきた旅行業法第11条の2では、営業所ごとに合格者を選任することが決められています。雇用の形についての扱いは、登録の窓口になる行政庁に確かめるのが確実です。
管理者と社長の名前が違うのはおかしい?
会社のWebサイトや名刺で、旅行業務取扱管理者と社長の名前が違うのは問題ないのか、という相談です。
管理者は営業所ごとに選任される役割なので、社長と別の人であっても不思議ではありません。社長が資格を持っていなくても、営業所に合格者が選任されていれば、仕組みとしては成り立ちます。
旅行業者代理業でも、支店ごとに1人は要る?
旅行業者代理業でも、支店ごとに管理者を置かないといけないのか、という相談です。
選任の決まりは、旅行業者と旅行業者代理業者の両方に当てはまります。支店も営業所として旅行業務を扱うなら、その営業所ごとに管理者を選任すると考えておきましょう。
独学でいくか、講座を使うかの考え方
社内で管理者が足りず、自分が資格を取ることになった方もいますよね。法令や約款の考え方は、選任の決まりとつながっているので、実務と並行して学びやすい科目です。
独学で進める方も多くいます。ただ、仕事と両立しながら計画どおり進めたい方は、講座の資料を見比べてから決めると迷いにくくなります。
旅行業務取扱管理者ガイド
講座を使って効率よく合格を目指したい方へ
旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。
無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。
よくある質問
旅行業務取扱管理者は営業所に何人選任すればいいですか?
旅行業法では営業所ごとに一人以上です。JATAの案内では、従業員が10名以上の営業所では2名以上とされています。
従業員が1人だけの営業所でも選任が必要ですか?
はい、必要です。旅行業務を扱う人が1人だけの営業所にも、選任の決まりは当てはまります(旅行業法第11条の2第3項)。
1人の管理者が2つの営業所を兼ねられますか?
原則として兼ねられません。営業所間の距離の合計が40キロメートル以下などの条件を満たす近接営業所だけ、1人で足りる場合があります。
管理者が退職して全員いなくなったらどうなりますか?
新しく管理者を選任するまで、その営業所では旅行業務に関する契約を結べません。資格を持つ人を複数置いておくと安心です。
国内旅行業務取扱管理者を、海外旅行を扱う営業所で選任できますか?
できません。海外旅行を扱う営業所で選任できるのは、総合の合格者です。
まとめ
- 旅行業法では、営業所ごとに一人以上の旅行業務取扱管理者を選任する
- JATAの案内では、従業員が10名以上の営業所は2名以上
- 管理者が全員欠けると、新しく選任するまで契約を結べない
- 兼務は原則できず、近接営業所の特例には距離と取引額などの条件がある
- 選任できる資格は、営業所が扱う旅行の範囲で決まる
条文そのものを確かめたい方は、e-Gov 旅行業法の第11条の2を開いてみてください。試験で選任の決まりを押さえたい方は、旅行業法対策もあわせてどうぞ。





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