旅行業務取扱管理者の仕事内容|営業所で何を管理・監督するのか

旅行業務取扱管理者の仕事内容を10の業務から解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本旅行業協会(JATA)・全国旅行業協会(ANTA)などの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・法令は変更されることがあるため、最新の情報は各試験の実施機関のサイトで確認してください。

旅行業務取扱管理者の資格に興味はあるけれど、実際にどんな仕事をするのかはよく分からない。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、旅行業務取扱管理者の仕事は、旅行会社の営業所で旅行の取引が正しく行われているかを管理・監督することです。自分で全部の手続きをするというより、営業所全体を見守る役割なんです。

この記事を読むと、法律で決められた10の業務の中身と、営業所の1日のどこに管理者の仕事があるかが分かります。

目次

旅行業務取扱管理者の仕事とは?営業所の取引を見守る責任者

先に結論

旅行業者は、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任し、取引条件の説明などの業務を管理・監督させなければなりません(旅行業法第11条の2)。管理者は、その営業所の取引の責任者です。

『管理者って、店長のような立場なの?』と思う方もいますよね。

近い面はありますが、旅行業務取扱管理者は、売上や人の配置を決める役職とは別のものです。旅行者との取引が法律どおりに行われているかに責任を持つ、という役割なんです。

資格そのものの全体像は、旅行業務取扱管理者とは?でまとめています。

なぜ営業所ごとに管理者が必要なのか

旅行は、申し込みの時点では形がない商品です。お客さまは、説明や書面を頼りに旅行を買うことになります。

そのため旅行業法では、営業所ごとに1人以上の管理者を選任するよう決めています。旅行業務を扱う人が1人だけの営業所にも、この決まりは当てはまります。

JATAの案内では、従業員が10名以上の営業所では2名以上とされています。営業所ごとに何人必要かは、旅行業務取扱管理者の選任義務で詳しく紹介しています。

資格の種類で、管理できる営業所が変わる

旅行業務取扱管理者には総合・国内・地域限定の3種類があり、どの営業所の管理者になれるかが違います。

営業所が扱う旅行選任できる管理者
海外旅行を扱う総合の合格者
国内旅行だけを扱う総合か国内の合格者
拠点区域(主たる営業所の所在地の隣接市町村まで)の旅行だけを扱う総合・国内・地域限定(その地域に係るもの)の合格者

仕事の中身そのものは、どの資格でも同じ10の業務です。違うのは、管理できる旅行の範囲なんですね。

管理者になれるのは、どんな人?

管理者になるには、欠格事項に当てはまらないことと、旅行業務取扱管理者試験に合格していることが必要です(観光庁)。試験は国家試験で、受験資格に年齢や学歴の制限はありません。

『実務の経験がないと管理者になれないの?』と心配する方もいますよね。試験そのものに実務経験の条件はないので、まず合格を目指すところから始められます。

法律で決められた10の業務を「見える仕事」と「裏側の仕事」に分けると

半分はお客さまの目に触れる仕事

管理者の10の業務は、お客さまに直接見える仕事と、営業所の中で回っている裏側の仕事に分けられます。こう分けると、1つ1つの業務の意味がつかみやすくなります。

旅行業務取扱管理者の業務は、旅行業法施行規則第10条で10項目が決められています。項目名だけだと硬いので、この記事では2つに分けてみました。

区分法律で決められた業務営業所での場面の例
見える仕事旅行に関する計画の作成お客さまの希望に合わせて行程を組む
見える仕事旅行業務の取扱い料金の掲示手数料の一覧を店頭やサイトに出す
見える仕事旅行業約款の掲示及び備置き約款を見える所に置き、求められたら見せる
見える仕事取引条件の説明申し込みの前に、代金や取消料を説明する
見える仕事契約書面の交付申し込みのあとに、契約内容の書面を渡す
見える仕事企画旅行の広告パンフレットやWebの募集広告を出す
裏側の仕事企画旅行の円滑な実施のための措置運送や宿泊の手配が確実か確かめる
裏側の仕事旅行に関する苦情の処理お客さまからの苦情を受けて対応する
裏側の仕事重要な事項の明確な記録・関係書類の保管契約内容の記録と書類を残しておく
裏側の仕事取引の公正・旅行の安全・旅行者の利便の確保観光庁長官が定める事項を守る
旅行業務取扱管理者の10の業務を、お客さまに見える仕事と裏側の仕事に分けて示した図解

見える仕事は「説明」と「書面」が中心

見える仕事の中心は、お客さまに何を約束するかをはっきりさせることです。取引条件の説明と契約書面の交付は、その代表ですね。

例えば、窓口で国内のパッケージツアーを申し込まれた場面を考えてみてください。

「取消料は、いつから、どのくらいかかりますか?」
「出発の何日前からかかるかは、こちらの書面に書いてあります」

こうしたやりとりが正しく行われているかを見るのが、管理者の仕事です。説明を自分でする場面もあれば、スタッフの説明に漏れがないかを確かめる場面もあります。

料金の掲示と約款の備置きも、立派な仕事

地味に見えますが、取扱い料金の掲示と旅行業約款の掲示・備置きも、法律で決められた管理者の業務です。お客さまが申し込む前に、ルールを確かめられる状態を作っておくんですね。

例えば、店頭で約款を見せてほしいと言われた場面を考えてみてください。

「この旅行の約款は、どこで見られますか?」
「こちらに置いてありますので、どうぞご覧ください」

すぐに出せる状態になっているかを日ごろから確かめておくのも、管理者の大事な役目です。Webで申し込みを受けている営業所なら、サイト上で見られるかも確かめておきたいところです。

裏側の仕事は「記録」と「苦情」と「安全」

裏側の仕事は、お客さまからは見えにくいものの、トラブルが起きた時に効いてきます。契約の記録が残っていれば、言った・言わないの行き違いを減らせますよね。

苦情の処理も管理者の業務です。旅行中や旅行後に「聞いていた内容と違う」と言われた時、記録と書面を確かめながら対応します。

10番目の業務について

10番目は、取引の公正・旅行の安全・旅行者の利便の確保のために、観光庁長官が定める事項です。中身は法令の改正で変わることもあるので、試験の勉強では最新の内容で確かめてみてください。

営業所の1日のどこに、管理者の仕事がある?

管理者の仕事は、1日の流れの中に散らばっている

管理者の仕事は、決まった時間にまとめてする作業ではありません。窓口・企画・事務のそれぞれの場面に少しずつ入っています。

『管理者になったら、一日中書類を見ているの?』と想像する方もいるかもしれませんね。実は、多くの場面で通常の業務とつながっているんです。

ここでは、国内旅行を扱う営業所を例に、1日の流れの中で管理者の仕事が出てくる場面を表にしました。営業所の規模や形によって、実際の流れは違います。

時間帯の例営業所での動き管理者の仕事が入る所
始業前店頭の準備取扱い料金と約款が掲示・備置きされているか確かめる
午前窓口での相談・申し込み取引条件の説明に漏れがないか見る
昼手配の確認運送や宿泊の手配が予定どおりか確かめる
午後企画旅行の募集広告づくり広告の表示が決まりに合っているか確かめる
夕方契約書面の発送・記録書面の交付と記録・書類の保管を確かめる
随時電話やメールでの問い合わせ苦情を受けたら記録を見ながら対応する
営業所の1日の流れの中で、旅行業務取扱管理者の仕事が出てくる場面を時間帯ごとに示した図解

表のとおり、管理者の仕事は窓口や企画の仕事と重なっています。だからこそ、営業所の中で実際に働いている人が管理者になることが多いんですね。

苦情を受けた時の流れの例

苦情の処理は、管理者の業務の中でも気を使う場面です。一般的な対応の流れを手順にしてみました。

苦情を受けた時の流れの例
  1. お客さまの話を最後まで聞き、内容を記録する
  2. 契約書面と取引条件の説明の記録を確かめる
  3. 手配の内容と、実際に起きたことを照らし合わせる
  4. 営業所としての対応を決め、お客さまに伝える
  5. 同じことが起きないよう、説明や手配の手順を見直す

最後の「見直す」までが管理者の仕事です。苦情は、営業所の説明の仕方を良くするきっかけにもなります。

広告を出す前に確かめること

企画旅行の広告も、管理者が見る業務の1つです。パンフレットやWebの募集ページを作る時は、次のような点を確かめます。

広告を出す前のチェックの例
  • 旅行の代金と、代金に含まれるものが分かるか確かめる
  • 取引条件の説明につながる情報が載っているか確かめる
  • 写真や文章が、実際の旅行の内容と合っているか確かめる
  • 申し込み方法と問い合わせ先が分かるか確かめる

広告の決まりは、試験の法令の科目でも出てきます。仕事と勉強がつながる場面ですね。

管理者だけに決められているルールはある?

兼務の禁止と、欠けた時の契約停止が大事

管理者には、ほかの営業所との兼務や、管理者がいなくなった時の扱いなど、法律で決められたルールがあります。営業所で働く人も知っておきたい内容です。

管理者を選任すれば終わり、というわけではありません。法律では、管理者がいる状態を保つためのルールも決めています。

ルール中身根拠
兼務できないほかの営業所の管理者を兼ねられない(近接する営業所の例外あり)旅行業法第11条の2第4項・第5項
全員欠けた時新しく選任するまで、旅行業務の契約を結べない旅行業法第11条の2第2項
証明書の提示旅行者から求められたら証明書を見せる旅行業法第12条の5の2
定期研修選任された管理者は5年ごとに研修を受ける旅行業法第11条の2第7項・施行規則第10条の6

管理者が全員欠けると、契約ができない

選任した管理者の全員が欠けると、新しく選任するまで、その営業所では旅行業務の契約を結べません。営業所にとっては大きな影響ですよね。

だからこそ、1人の管理者だけに頼らず、資格を持つ人が複数いると営業所は安心です。資格を持つ人が求められる背景には、こうした決まりがあります。

よくある勘違い

近くの営業所なら何か所でも1人で見られる、というわけではありません。近接する営業所の例外には、地域限定旅行業務の範囲であることや、取引額の合計などの条件があります。

証明書を見せてと言われたら

管理者は、旅行者から求められた時に証明書を見せなければなりません(旅行業法第12条の5の2)。お客さまが「この営業所の責任者は誰か」を確かめられるようにするための決まりです。

例えば、高額な旅行の申し込みを迷っているお客さまから、こう聞かれることもあります。

「こちらの管理者の方は、どなたですか?」

こうした時にすぐ応じられると、営業所への信頼にもつながりますよね。

5年ごとの定期研修

選任された管理者は、5年ごとに旅行業協会が行う定期研修を受けることになっています。受講を修了していないと、更新登録を拒否される理由に当たるとANTAは案内しています。

なお、直近5年以内に試験に合格した選任管理者などは対象外です。研修の中身は旅行業務取扱管理者の定期研修で紹介しています。

国内旅行業務取扱管理者の仕事と、総合の仕事は違う?

業務の中身は同じで、扱える旅行の範囲が違う

国内旅行業務取扱管理者の仕事も、総合の仕事も、10の業務という中身は同じです。違いは、海外旅行を扱う営業所を管理できるかどうかです。

『国内の資格だと、できる仕事が少ないの?』と気になる方もいますよね。

国内旅行業務取扱管理者は、国内旅行だけを扱う営業所の管理者になれます。地域の旅行だけを扱う営業所の管理者にもなれます。

国内の資格で管理できる営業所
  • 国内旅行だけを扱う営業所
  • 拠点区域の旅行だけを扱う営業所
  • 取扱い料金の掲示や書面の交付など10の業務すべて
国内の資格では管理できない営業所
  • 海外旅行を扱う営業所
  • 総合の合格者が必要な営業所
  • 主任添乗員の役割(別の研修と実務経験が必要)

試験の中身でも、総合には海外旅行実務が加わります。総合の海外旅行実務では、旅券や出入国手続き、外国の観光地などの知識が問われます。

添乗員の仕事とは別のもの

旅行業務取扱管理者と混同されやすいのが、ツアーに同行する添乗員の仕事です。主任添乗員(旅程管理主任者)になるには、旅程管理研修を修了し、実務経験を積む必要があります。

旅行業務取扱管理者の試験に合格しただけでは、主任添乗員にはなれません。違いは旅程管理主任者と旅行業務取扱管理者の違いで比べています。

比べる点旅行業務取扱管理者旅程管理主任者
主な場所営業所旅行の現場(ツアーに同行)
主な役割取引の管理・監督旅程の管理
なるために必要なこと国家試験に合格する旅程管理研修の修了と実務経験

旅行業務取扱管理者の仕事でよくある相談

相談の多くは「資格と仕事の結びつき」

仕事内容の相談では、「資格があれば旅行会社で働けるのか」「旅行会社の人はみんな持っているのか」がよく聞かれます。代表的なものに答えます。

旅行会社で働く人は、だいたい持っている資格?

旅行会社に勤めている人なら、この資格を持っている人が多いのか、という相談です。

営業所ごとに管理者の選任が必要なので、旅行会社の中に資格を持つ人がいることは確かです。ただ、働く人全員が持たなければならない、という決まりではありません。

実際、令和7年度(2025年度)の国内試験の申込者12,376人のうち、旅行業で働く人は1,821人(14.7%)でした。会社員や学生の申込者も多く、旅行の仕事についてから受ける人もいれば、その前に受ける人もいます。

資格がないと、旅行会社には入れない?

国内や総合の資格がないと、旅行会社には就職できないのか、という相談です。

法律で決まっているのは、営業所ごとに管理者を選任することです。働く人全員が資格を持っている必要はありません。

採用の時に資格をどう見るかは、会社ごとに違います。資格と就職の関係は、旅行業務取扱管理者は就職に役立つ?で詳しく紹介しています。

国内と総合に合格したけれど、どんな仕事を探せばいい?

国内と総合の両方に合格して、仕事を探したいがどんな仕事があるか、という相談です。

管理者として選任されるのは、旅行業者や旅行業者代理業者の営業所です。国内旅行の窓口、企画旅行の販売、法人向けの旅行の手配など、営業所の仕事が中心になります。

合格したことは、旅行業法や約款、運賃や料金の知識を学んだ証です。面接では、その知識をどんな場面で使いたいかを話せるようにしておくと伝わりやすいですよ。

総合の資格があれば「旅行のプロ」?

総合旅行業務取扱管理者に受かった人は、旅行のプロと言えるのか、という相談です。

総合の試験では、業法・約款・国内旅行実務に加えて、配点200点の海外旅行実務が出ます。令和7年度(2025年度)の総合の合格率は26.1%で、旅行の取引の知識を幅広く学んだ証になるのは確かです。

ただ、資格は営業所で管理者になるためのものです。旅行の現場での経験や、お客さまの希望をくみ取る力は、仕事の中で身につけていくものだと考えておくと良いですよ。

独学でいくか、講座を使うかの考え方

仕事内容を知って「受けてみよう」と思えたら、次は学び方です。旅行業法の条文は試験の法令の科目の中心で、仕事の内容とそのまま重なります。

独学で進める方もたくさんいます。ただ、一人だと続けにくい方は、講座の資料を見比べてから決めると安心です。

旅行業務取扱管理者ガイド

講座を使って効率よく合格を目指したい方へ

旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。

無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る

試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

旅行業務取扱管理者の仕事は、具体的に何をしますか?

営業所で、取引条件の説明や契約書面の交付、広告、苦情の処理など10の業務が正しく行われているかを管理・監督します。自分で窓口に立ちながら、営業所全体を見る形が一般的です。

国内旅行業務取扱管理者の仕事と総合の仕事は違いますか?

10の業務という中身は同じです。違いは扱える旅行の範囲で、海外旅行を扱う営業所の管理者になれるのは総合の合格者だけです。

1人の管理者が複数の営業所を見られますか?

原則として、ほかの営業所の管理者を兼ねることはできません。近接する営業所の例外には、地域限定旅行業務の範囲や取引額の合計などの条件があります。

管理者になったら、資格の更新はありますか?

資格そのものに更新制度はありません。ただ、選任された管理者は5年ごとに定期研修を受けることになっています。

旅行業務取扱管理者の業務は、試験のどの科目とつながりますか?

管理者の業務を決めているのは旅行業法と施行規則なので、法令の科目と深くつながります。取引条件や取消料の話は、約款の科目とも重なります。

まとめ

この記事の要点
  • 旅行業務取扱管理者の仕事は、営業所の旅行の取引を管理・監督すること
  • 業務は施行規則第10条の10項目で、見える仕事と裏側の仕事に分けられる
  • 管理者の仕事は、窓口・企画・事務など1日の流れの中に散らばっている
  • 兼務の禁止や、全員欠けた時の契約停止、5年ごとの定期研修といったルールがある
  • 国内と総合で業務の中身は同じで、違うのは扱える旅行の範囲

旅行業法の全体を勉強したい方は、旅行業務取扱管理者の旅行業法対策から読むと、仕事の決まりと試験がつながって見えてきます。

まずは10の業務の表を見て、身近な旅行の申し込みの場面と重ねてみてください。

旅行業務取扱管理者ガイド

旅行業務取扱管理者ガイド 編集部

総合・国内・地域限定の旅行業務取扱管理者試験の仕組み、合格率と科目ごとの対策、過去問や講座を使った勉強法、資格を仕事に活かす方法までを、はじめて受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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