総合旅行業務取扱管理者とは?国内との違いと取るまでのルート

総合旅行業務取扱管理者と国内との違い、取るまでのルートを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本旅行業協会(JATA)・全国旅行業協会(ANTA)などの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・法令は変更されることがあるため、最新の情報は各試験の実施機関のサイトで確認してください。

海外旅行の仕事に関わりたくて資格を調べると、総合旅行業務取扱管理者という名前にたどり着きますよね。国内との違いや、どの順番で受ければいいのかで迷う方も多いはずです。

結論から言うと、総合旅行業務取扱管理者は、海外旅行も含めてすべての旅行を扱う営業所で責任者になれる、いちばん範囲の広い資格です。取り方は、いきなり総合を受けるルートと、国内に合格してから免除付きで受けるルートの2つがあります。

この記事を読むと、総合と国内の違い、2つのルートのどちらが自分に合うか、試験の中身が分かります。

目次

総合旅行業務取扱管理者とは?海外旅行も扱える唯一の区分

先に結論

総合旅行業務取扱管理者は、海外旅行を扱う営業所の管理者になれる、3種類の中で唯一の資格です。国内旅行や地元の旅行を扱う営業所の管理者にもなれます。

『総合って、国内の上位版みたいなもの?』と思いますよね。

イメージとしては近いです。旅行業法第11条の2第6項では、海外旅行を扱う営業所には総合の合格者を管理者として選任するよう決めています。

営業所が扱う旅行管理者にできる人
海外旅行を扱う総合の合格者だけ
国内旅行だけを扱う総合か国内の合格者
拠点区域(営業所のある地域)の旅行だけを扱う総合・国内・地域限定のどれかの合格者

つまり、総合に合格すれば、どの範囲の営業所でも管理者になれます。国内の資格を別に持っている必要はありません。

管理者の仕事は、取引条件の説明や契約書面の交付、企画旅行の広告、苦情の処理などが正しく行われているかを管理・監督することです。資格の全体像は旅行業務取扱管理者とはでまとめています。

昔の名前と、英語での表し方

平成17年4月1日施行の旅行業法改正までは、「一般旅行業務取扱主任者」という名前でした。旧名称で合格した人も、受け直しや手続きはいりません。

英語表記と合格証

JATAによると、総合旅行業務取扱管理者の英語表記は「Certified General Travel Services Manager」です。ただし英語版の合格証は発行されていません。

総合の資格がつながる場面

総合の勉強では、国内の範囲に加えて、海外の運送機関の料金や出入国の手続まで学びます。立場によって、つながる場面は少しずつ違います。

あなたの立場資格や知識がつながる場面
海外ツアーの企画や手配をしている海外旅行を扱う営業所の管理者に選任される候補になる
旅行会社の窓口で働いている国内も海外も扱う営業所の管理者の候補になる
国内に合格して次を考えている2科目に絞って、扱える範囲を海外まで広げられる
海外の旅行に関わる仕事を目指す学生出入国手続や海外の観光を、制度から学べる

就職や昇進でどのくらい役立つかは、会社によって違います。決めつけずに、自分がどんな仕事をしたいかから考えてみてください。

総合と国内の違いを1枚で比べる

違いは「海外旅行実務」があるかどうか

総合には、国内にはない海外旅行実務の科目があり、配点も200点と大きくなっています。実施機関や試験の方式も、国内とは別です。

『国内と総合、試験はどのくらい違うの?』という方のために、令和8年度(2026年度)の受験案内をもとに並べました。

比べる点総合国内
実施機関日本旅行業協会(JATA)全国旅行業協会(ANTA)
試験の方式マークシートCBT(パソコン)
令和8年度の試験日令和8年10月25日(日)令和8年9月3日(木)から25日(金)のうち選んだ日時
令和8年度の申込期間7月16日から8月7日(インターネットのみ)6月18日から7月15日(インターネットのみ)
令和8年度の受験手数料13,000円+システム利用料660円8,000円+システム利用料660円
試験地北海道・宮城・東京・愛知・大阪・広島・福岡・沖縄全国47都道府県のテストセンター
科目業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務法令・約款・国内旅行実務
令和7年度の合格率26.1%35.6%

日程や手数料は毎年変わる可能性があります。最新の日程は、JATAの受験案内で確かめてみてください。

国内と同じ年に両方受けることもできる

国内は9月、総合は10月なので、同じ年度に両方を受けることもできます。

ただし、その年の国内に合格して、同じ年の総合を免除付きで受けることはできません。総合の受付締切が、国内の合格発表より前だからです(JATA・ANTA)。

国内と総合のくわしい比べ方は、国内と総合の違いで紹介しています。

いきなり総合か、国内を経てか?2つのルートをデータで比べる

国内を経るルートは、2年目の総合で受ける科目が2つに減る

国内に合格すると、総合の業法と国内旅行実務が免除になり、約款と海外旅行実務だけを受ける区分Eになります。令和7年度の区分Eの合格率は29.6%で、免除なしの区分Aは11.7%でした。

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。総合を取るルートは、大きく分けて2つあります。

ルート1 いきなり総合を受ける
  1. 総合の受験区分A(免除なし)で申し込む
  2. 業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務の4科目を勉強する
  3. 1日で4科目を受け、全科目で満点の60%以上を目指す
  4. 不合格でも、国内旅行実務か海外旅行実務が合格点なら次回はその科目が免除になる
ルート2 国内に合格してから総合を受ける
  1. 1年目に国内試験(法令・約款・国内旅行実務)を受けて合格する
  2. 2年目に、国内の有資格者として総合の受験区分Eで申し込む
  3. 約款と海外旅行実務の2科目に絞って勉強する
  4. 2科目とも満点の60%以上で総合に合格する

受験区分ごとの合格率を並べてみる

JATAの実施結果から、区分A(免除なし)と区分E(国内合格者)の合格率を年度ごとに並べました。

年度総合全体の合格率区分A(免除なし)区分E(国内の有資格者)
令和4年度31.6%13.5%35.7%
令和5年度22.3%7.9%26.5%
令和6年度28.2%13.2%36.3%
令和7年度26.1%11.7%29.6%

どの年度も、区分Eのほうが区分Aより合格率が高くなっています。受ける科目が少ない分、海外旅行実務に時間をかけられるのが大きいんです。

いきなり総合を受けるルートと、国内に合格してから区分Eで総合を受けるルートを、年数と受ける科目で比べた図解

国内を経るルートの1年の流れ

ルート2を選んだ時の流れを、令和8年度(2026年度)の日程に当てはめると、こんなイメージになります。翌年の日程は年度ごとに変わるので、目安として見てください。

時期やること
1年目の6月から7月国内試験に申し込む(令和8年度は6月18日から7月15日)
1年目の9月国内試験をCBTで受ける(令和8年度は9月3日から25日の間)
1年目の10月国内の結果を確かめる(令和8年度は10月16日)
1年目の冬から2年目の夏約款と海外旅行実務の勉強を進める
2年目の7月から8月総合に区分Eで申し込む
2年目の10月総合を受ける

1年目の国内の勉強で、約款はひと通り学んでいます。2年目は、海外旅行実務に多くの時間を回せるのがこのルートのよさなんです。

どちらのルートが合う?

ルート2は合格までに最短でも2年かかります。一方、ルート1は1年で総合を取れる可能性がある代わりに、4科目を同時に仕上げる必要があります。

迷った時は、こんなふうに自分に聞いてみてください。

「海外旅行実務の勉強に、今年どのくらい時間を回せる?」

答えに自信がなければ、国内から始めるルート2のほうが気持ちに余裕を持って進められます。

あなたの状況合いやすいルート
旅行の法令や約款を学ぶのが初めてルート2(国内から)
海外旅行の手配の仕事をしていて、海外の知識があるルート1も選択肢
1年で総合を取りたい事情があるルート1
まず1つ合格して、手応えをつかみたいルート2(国内から)
国内試験の会場が近く、日時を選んで受けたいルート2(国内から)
ルート1を選ぶ前に確かめたいこと
  • 海外旅行実務の200点分を勉強する時間が取れるか
  • 国内旅行実務の運賃・料金の計算に慣れているか
  • 試験日まで4科目を並行して進める計画が立てられるか
  • 不合格だった時に、科目合格を使って翌年に続ける気持ちがあるか

免除の仕組みは、総合旅行業務取扱管理者の科目免除でくわしく紹介しています。

総合旅行業務取扱管理者の試験の中身

4科目それぞれで60%以上が合格の条件

配点は業法・約款・国内旅行実務が各100点、海外旅行実務が200点です。合格点は各受験科目で満点の60%以上で、1科目でも届かないと合格になりません。

『海外旅行実務って、何が出るの?』と気になりますよね。令和8年度の受験案内をもとに、4科目の中身を表にしました。

科目主な中身配点
業法旅行業法及びこれに基づく命令100点
約款旅行業約款、運送約款及び宿泊約款100点
国内旅行実務国内の運送機関・宿泊施設の料金、実務処理など100点
海外旅行実務本邦外の運送機関の利用料金、旅券・通関・検疫・為替管理などの法令、出入国手続の実務、主要国の観光、語学など200点

出題の根拠になる法令は、令和8年度なら令和8年8月1日現在のものです。海外旅行実務の対策は総合旅行業務取扱管理者の海外旅行実務で紹介しています。

海外旅行実務は、中身ごとに勉強の仕方を変える

海外旅行実務は200点と配点が大きく、範囲も広い科目です。中身ごとに、勉強の進め方を分けて考えると取り組みやすくなります。

中身勉強の進め方の例
本邦外の運送機関の利用料金計算の手順を自分の言葉でメモし、過去問で何度も解く
旅券・通関・検疫・為替管理などの法令似ている決まりを表にまとめて、違いを比べて覚える
出入国手続の実務出国から入国までの順番を、流れとして覚える
主要国の観光地図を見ながら、国ごとに都市と観光地をセットで覚える
語学過去問の英文に出てくる旅行の言葉を集めておく

一度に全部を覚えようとすると大変ですよね。得意な中身から点を積み、苦手な中身は過去問に出た所から押さえていきましょう。

試験当日の時間割

免除のない区分Aの場合、令和8年度の時間割は次のとおりです。

時限時間科目
第1時限11:00から12:20(80分)業法・約款
第2時限13:30から15:30(120分)国内旅行実務・海外旅行実務

第1時限を欠席すると、第2時限は受けられません。遅刻は各時限の開始後30分以内までです。

よくある失敗

マークシートの試験なので、スマートフォンやスマートウォッチは使えません。時計は時計機能だけの小型のものを用意しておきましょう。

受験区分はAからHまで8つある

総合では、持っている資格や研修の修了、前年度の科目合格によって、受ける科目が変わります。

受験区分免除される科目受ける科目
Aなし業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務
B海外旅行実務業法・約款・国内旅行実務
C国内旅行実務業法・約款・海外旅行実務
D国内旅行実務・海外旅行実務業法・約款
E業法・国内旅行実務約款・海外旅行実務
F業法・国内旅行実務・海外旅行実務約款
G業法約款・国内旅行実務・海外旅行実務
H業法・海外旅行実務約款・国内旅行実務

国内の有資格者だけなら区分E、地域限定の有資格者だけなら区分Gです。科目合格の制度があるのは、国内旅行実務と海外旅行実務の2科目だけで、業法と約款にはありません。

総合の研修を受けられる人

JATAの総合旅行業務取扱管理者研修は、旅行会社に勤めていて、直近5年以内に3年以上の海外旅行業務の経験がある人が対象です。一般の人は受講できません。

合格率の推移と、勉強の考え方

総合全体の合格率は2割台から3割台

JATAの実施結果では、総合の合格率は令和3年度から令和7年度まで22.3%から31.6%の間で推移しています。令和7年度は受験者4,519人のうち1,179人が合格し、26.1%でした。

年度出願者受験者合格者合格率
令和3年度8,356人7,135人1,785人25.0%
令和4年度6,488人5,266人1,662人31.6%
令和5年度5,871人4,699人1,050人22.3%
令和6年度5,820人4,680人1,320人28.2%
令和7年度5,493人4,519人1,179人26.1%

『合格率が低い年があって不安…』と感じる方もいるはずです。ただ、この数字には免除のある区分も含まれています。

令和7年度の区分Dの合格率は58.0%、区分Fは96.5%でした。自分がどの区分で受けるかで、見るべき数字が変わるんです。

不合格でも、科目合格が次につながる

令和7年度の不合格者3,120人のうち、449人が科目合格でした。内訳は国内旅行実務だけが170人、海外旅行実務だけが238人、両方が41人です。

科目合格した科目は、次回の総合で免除されます。1回で届かなくても、積み上げていける仕組みなんです。

総合の受験区分Aから区分Fまでの令和7年度の合格率を並べ、受ける科目の組み合わせで合格率が大きく違うことを示した図解

独学でいくか、講座を使うか

総合も、市販のテキストとJATAが公開している過去5年分の問題で、独学で合格を目指せます。JATAとANTAは公的な立場から、特定の参考書や講座を紹介していません。

海外旅行実務の範囲が広くて計画が立てにくい方や、質問できる相手がほしい方は、講座の資料を見比べてから決めると判断しやすくなります。学び方の比べ方は旅行業務取扱管理者の講座の選び方で紹介しています。

旅行業務取扱管理者ガイド

講座を使って効率よく合格を目指したい方へ

旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。

無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る

試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。

総合旅行業務取扱管理者でよくある相談

多いのは「国内なしで受けられるか」と「古いテキストで足りるか」

総合を考えている人の相談でよく見かけるテーマに答えます。

国内に合格していなくても総合を受けられる?

国内旅行業務取扱管理者の資格がなくても、総合の試験を受けられるのか、という相談です。

受けられます。総合に受験資格の制限はなく、年齢・学歴・国籍に関係なく申し込めます。

その場合は免除なしの区分Aで、4科目すべてを受けることになります。前の章の「ルート1」の流れを参考にしてみてください。

国内に合格した。総合の勉強はどこから始める?

昨年国内に合格して、今年は総合を受けたいけれど、何から手をつければいいか、という相談です。

国内の有資格者なら、区分Eで約款と海外旅行実務の2科目を受けます。約款は国内で学んだ内容と重なる部分があるので、まずは総合の過去問で今の実力を確かめてみてください。

そのうえで、海外旅行実務に時間の多くを回すのがおすすめです。JATAは過去5年分の問題と正解を公開しているので、無料で使える教材として活用できます。

1年前のテキストでも合格できる?

これから勉強を始めるけれど、1年前の総合のテキストで足りるのか、という相談です。

総合の試験は、その年の8月1日現在の法令をもとに作られます。法改正があった部分は、古いテキストと内容が違うことがあります。

例えばこんなふうに確かめてみてください。

  • 「業法や約款で、前の年から変わった所はある?」
  • 「海外旅行実務の出入国手続のルールに変更はない?」

最新版との違いが分からない時は、法令と約款だけでも最新版で確かめておくと安心です。総合のテキストの選び方は総合旅行業務取扱管理者のテキストの選び方で紹介しています。

よくある質問

総合旅行業務取扱管理者とは、どんな資格ですか?

海外旅行も含めてすべての旅行を扱う営業所で、旅行業務取扱管理者として選任されるための国家資格です。海外旅行を扱う営業所の管理者になれるのは、総合の合格者だけです。

総合旅行業務取扱管理者の試験はいつですか?

年1回で、令和8年度は10月25日(日)でした。申込みは7月16日から8月7日までで、インターネットのみです。

国内の合格者はどの科目が免除になりますか?

業法と国内旅行実務が免除になり、約款と海外旅行実務を受ける区分Eになります。

総合に合格したら、国内も受ける必要はありますか?

受ける必要はありません。総合の合格者は、国内旅行だけを扱う営業所の管理者にもなれます。

総合の資格に更新はありますか?

合格に有効期限や更新はありません。ただし管理者に選任されると、5年ごとに定期研修を受けることになります。

まとめ

この記事の要点
  • 総合旅行業務取扱管理者は、海外旅行を扱う営業所の管理者になれる唯一の資格
  • 国内との違いは海外旅行実務(200点)があることで、実施機関はJATA、方式はマークシート
  • 国内に合格してから受けると区分Eになり、令和7年度の合格率は29.6%(区分Aは11.7%)
  • 合格点は各科目で満点の60%以上で、国内旅行実務と海外旅行実務には科目合格がある
  • 令和7年度の総合全体の合格率は26.1%だった

試験の最新情報は、JATAの総合旅行業務取扱管理者試験のページで確かめられます。

まずは2つのルートの表を見て、自分がどちらで総合を目指すかを決めてみましょう。

旅行業務取扱管理者ガイド

旅行業務取扱管理者ガイド 編集部

総合・国内・地域限定の旅行業務取扱管理者試験の仕組み、合格率と科目ごとの対策、過去問や講座を使った勉強法、資格を仕事に活かす方法までを、はじめて受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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