旅行業務取扱管理者を取るメリット|役に立つ場面と取って損しないか

旅行業務取扱管理者を取るメリットと、取って損しないかの判断の仕方を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本旅行業協会(JATA)・全国旅行業協会(ANTA)などの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・法令は変更されることがあるため、最新の情報は各試験の実施機関のサイトで確認してください。

旅行業務取扱管理者に興味はあるけれど、取ったところで本当に役に立つのか、勉強の時間をかける価値があるのか迷っている。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、旅行業務取扱管理者を取るメリットは「仕事で必要になる」「知識が旅行で役立つ」「次の資格の土台になる」の3つに分けられます。どれが自分に当てはまるかで、取る価値の大きさが変わります。

この記事を読むと、3つのメリットの中身と、自分が今取るべきかどうかの判断の仕方が分かります。

目次

旅行業務取扱管理者を取るメリットは?3つに分けて考える

先に結論

メリットは、法律で営業所ごとに必要とされる「仕事のメリット」、約款や運賃の知識が身につく「旅行のメリット」、国内から総合へ進む時の免除などの「次につながるメリット」の3つです。

『資格のメリットって、結局は就職のことでしょ?』と思う方もいますよね。

もちろん仕事とのつながりは大きいのですが、それだけではありません。旅行のルールを知っていると、普段の旅行の申し込みでも役に立つ場面があるんです。

メリットの種類中身特に当てはまる人
仕事で必要になる旅行会社の営業所ごとに管理者の選任が必要旅行業で働いている・働きたい人
知識が旅行で役立つ約款・取消料・運賃や料金の知識が身につく旅行が好きな人・旅行の手配をよくする人
次の資格の土台になる国内の合格で総合の一部の科目が免除になる総合まで目指したい人
旅行業務取扱管理者を取るメリットを、仕事・旅行の知識・次の資格の3つに分けて示した図解

そもそも、どんな資格?

旅行業務取扱管理者は、旅行業法にもとづく国家試験に合格して得る資格です。総合・国内・地域限定の3種類があり、旅行会社の営業所で取引を管理・監督する管理者になれます。

国家資格としての位置づけは、旅行業務取扱管理者は国家資格?で詳しく紹介しています。資格の全体像から知りたい方は旅行業務取扱管理者とは?から読むのもおすすめです。

誰でも受けられるのもメリット

3つの試験とも、年齢・学歴・国籍などの受験資格の制限はありません。高校生や大学生も、働いている社会人も、同じ試験を受けられます。

実務経験がなくても挑戦できるので、旅行業界に入る前の準備として受ける人もいます。『経験がないから無理かも』と思わなくて大丈夫ですよ。

メリット1 仕事で必要になる場面がある

営業所ごとに選任が必要な資格

旅行業者は、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません(旅行業法第11条の2)。旅行業の仕事では、資格を持つ人が必要とされる理由がはっきりしています。

いちばん分かりやすいメリットは、旅行業の仕事と直接つながっていることです。資格を持つ人がいないと、営業所を運営できないんです。

選任した管理者が全員欠けると、新しく選任するまで、その営業所では旅行業務の契約を結べません。管理者はほかの営業所の管理者を兼ねることもできないので、営業所の数だけ資格を持つ人が要ります。

資格の種類で、管理者になれる範囲が違う

どの資格を持っているかで、管理者になれる営業所の範囲が変わります。

営業所が扱う旅行管理者になれる資格
海外旅行を扱う総合
国内旅行だけを扱う総合か国内
拠点区域(主たる営業所の所在地の隣接市町村まで)の旅行だけを扱う総合・国内・地域限定

総合を持っていれば、すべての営業所の管理者になれます。国内でも、国内旅行だけを扱う営業所なら管理者になれます。

営業所の中での役割が見えるようになる

管理者の仕事は、取引条件の説明や契約書面の交付、広告、苦情の処理などが正しく行われているかを見ることです。資格の勉強をすると、窓口の仕事の一つ一つに理由があると分かります。

例えば、窓口でこんなやりとりをしている場面を考えてみてください。

「お申し込みの前に、取引条件をご説明しますね」

なぜ申し込みの前に説明するのか、どんな書面を渡すのかが、法令の科目で学ぶ内容とつながります。仕事の意味が分かると、毎日の業務にも自信が持てますよね。

旅行業を始めたい人にとってのメリット

自分で旅行業を始めたい方にとっては、資格はさらに大きな意味を持ちます。旅行業を営むには観光庁長官の登録が必要で、営業所ごとに管理者を確実に選任できない場合は、登録を拒否されるからです。

自分が管理者になれれば、管理者を探す手間がかかりません。旅行業の始め方は、旅行業を始めるには旅行業務取扱管理者が必要?で紹介しています。

就職への影響は会社ごとに違う

資格が採用でどう見られるかは、会社や職種によって違います。ここで言えるのは、旅行業の営業所に資格を持つ人が必要という法律の決まりまでです。就職との関係は旅行業務取扱管理者は就職に役立つ?でまとめています。

メリット2 知識が普段の旅行でも役立つ

約款・取消料・運賃のルールが分かるようになる

試験では、旅行業約款や運送約款・宿泊約款、運賃や料金の計算を学びます。旅行を申し込む側の立場でも、知っておくと安心な知識です。

『旅行の仕事をする予定はないけれど、旅行が好きだから取ってみたい』という方もいますよね。実は、そういう方にもメリットがあるんです。

例えば、ツアーを申し込んだあとに予定が変わった場面を考えてみてください。

「出発の何日前までなら、取消料がかからないんだろう?」

約款の科目を勉強していると、取消料がどんなルールで決まっているかの考え方が分かります。書面のどこを見ればいいかも見当がつくようになりますよ。

試験の科目と、旅行で役立つ場面

国内試験の3科目が、普段の旅行のどんな場面とつながるかを表にしました。

試験の科目学ぶこと旅行で役立つ場面の例
法令旅行業法の決まり(説明・書面・広告など)旅行会社から受け取る書面の意味が分かる
約款旅行業約款・運送約款・宿泊約款取消料や変更のルールを確かめられる
国内旅行実務運賃・料金の計算、国内の地理や観光地乗り継ぎや旅程を自分で考えやすくなる

国内旅行実務では、JRの運賃・料金の計算も学びます。きっぷの仕組みが分かると、旅行の計画を立てるのが楽しくなる方も多いはずです。

地理や観光地の知識も身につく

国内旅行実務には、国内の地理や観光地の問題も出ます。各地の観光地や地理を覚えていく勉強です。

『暗記は苦手だけど、旅行先を思い浮かべながらなら覚えられそう』という方もいるかもしれませんね。行ったことのある場所や、行ってみたい場所と結びつけると、楽しみながら覚えられますよ。

総合なら、海外旅行の知識も

総合の試験には、配点200点の海外旅行実務があります。旅券や出入国の手続き、外国の主要な観光地、語学など、海外旅行に関わる知識を幅広く学びます。

海外旅行が好きな方にとっては、勉強そのものが楽しみになる科目かもしれませんね。ただ範囲が広いので、時間には余裕を持っておきましょう。

メリット3 次の資格・研修の土台になる

国内の合格で、総合の2科目が免除になる

国内旅行業務取扱管理者に合格すると、総合の試験で業法と国内旅行実務が免除になります。一度の合格が、次の挑戦の負担を軽くしてくれます。

『いきなり総合を受けるのは不安』という方にとって、国内の合格は大きな足がかりになります。

総合の受験区分Eは、業法と国内旅行実務が免除になり、約款と海外旅行実務だけを受ける区分です。国内の合格者は、この区分で受けられます。

合格した資格次の試験で免除になる科目
国内総合の業法・国内旅行実務
地域限定総合・国内の法令(業法)
総合の国内旅行実務・海外旅行実務で合格点(科目合格)次回の総合でその科目
国内の国内旅行実務で合格点(科目合格)次回の国内で国内旅行実務

令和7年度(2025年度)の総合では、区分Eの合格率は29.6%でした。全科目を受ける区分Aの合格率11.7%と比べると、免除を使える区分の受けやすさが分かりますよね。

国内や地域限定に合格すると、次の試験でどの科目が免除になるかを示した図解

地域限定から始める道もある

3種類の中でいちばん範囲が狭いのが、地域限定です。令和7年度(2025年度)の地域限定の合格率は49.0%でした。

地域限定に合格すると、国内試験では法令が免除になる区分(免除B)で受けられます。地元の旅行に関わる仕事をしている方なら、ここから始めるのも1つの方法です。

ただ、地域限定の試験地は東京と大阪の2か所だけです。受けやすさは、住んでいる場所も合わせて考えてみてください。

合格は一生ものの資格

旅行業務取扱管理者には更新制度がなく、合格は有効のままです。住所が変わった時の届出もいりません。

今すぐ旅行の仕事に就く予定がなくても、将来使いたくなった時に受け直す必要がないのはメリットです。ただし、管理者に選任された人は、5年ごとに定期研修を受けることになります。

総合には英語の表記もある

総合旅行業務取扱管理者には、Certified General Travel Services Managerという英語表記があります。英語で経歴を書く時に、資格名の訳し方で迷わずに済みます。

ただし、英語版の合格証は発行されていません。英語の書類に書く時は、この表記を使うと伝わりやすいでしょう。

添乗員とは別の資格

旅行業務取扱管理者に合格しても、それだけで主任添乗員(旅程管理主任者)にはなれません。主任添乗員になるには、旅程管理研修の修了と実務経験が必要です。

取って得なケース・急がなくていいケースの判定表

メリットの大きさは、今の自分の状況で変わる

同じ資格でも、旅行業で働く人と、興味があるだけの人では、取る価値の大きさが違います。判定表で、今の自分に当てはまる行を探してみてください。

ここまでの3つのメリットを踏まえて、取って得なケースと、急がなくていいケースを表にしました。

あなたの状況判定理由
旅行会社の営業所で働いている取って得営業所の管理者の候補になれる
旅行業を自分で始めたい取って得自分が管理者になれれば登録の準備が進む
旅行・観光の仕事を目指す学生取って得業界の仕組みを学ぶ入口になる
宿泊・運送の仕事で旅行会社とやりとりがある取って得約款や料金の言葉が分かるようになる
将来、総合まで目指したい取って得国内の合格で総合の2科目が免除になる
旅行が好きで知識を深めたい時間があれば旅行の知識は役立つが、仕事のメリットは小さい
主任添乗員になることだけが目的急がなくていい必要なのは旅程管理研修と実務経験
別の資格の試験と時期が重なっている急がなくていい試験は毎年あるので、無理に重ねなくてよい

いちばん多く当てはまった判定が、今のあなたにとっての目安です。「急がなくていい」でも、損になるわけではありません。

状況別に考えてみると

判定表だけだと、自分の場合がイメージしにくいこともありますよね。よくある状況を3つ挙げてみます。

旅行会社の窓口で働いて2年目の場合は、仕事で毎日触れている約款や料金の話が、そのまま試験範囲です。営業所の管理者の候補にもなれるので、取るメリットはいちばん大きいと言えます。

観光学部の2年生の場合は、就職活動の前に業界の仕組みを知る入口になります。国内試験の申込者の約3割が学生なので、周りに同じ目標の人を見つけやすいのもよいところです。

ホテルのフロントで働いている場合は、管理者として選任される場面は少なめです。それでも、宿泊約款や旅行会社とのやりとりの言葉が分かるようになるのはメリットですね。

気をつけたいこと

メリットだけでなく、気をつけたい点も知っておきましょう。

取るメリット
  • 旅行業の営業所の管理者になれる
  • 約款・運賃・地理の知識が身につく
  • 国内の合格で総合の科目が免除になる
  • 更新制度がなく合格が有効のまま
気をつけたいこと
  • 採用での見られ方は会社ごとに違う
  • 運賃・料金の計算は慣れるまで時間がかかる
  • 総合の全科目受験の合格率は低めの年もある
  • 合格だけでは主任添乗員になれない

令和7年度の国内試験の合格率は35.6%、総合は26.1%でした。受験資格の制限はありませんが、準備なしで受かる試験ではないので、計画を立てて進めてみてください。

資格商法に気をつけて

ANTAは、資格商法への注意を呼びかけています。試験会場の周りでの講座の勧誘や、解答速報・合否通知のサービスは、実施機関とは関係がありません。申し込む前に、運営元を確かめるようにしましょう。

判定に迷った時のチェック

今取るかどうかを決める前に
  • 3つのメリットのうち、自分に当てはまるものを書き出す
  • 受けたい試験の種類(国内・総合・地域限定)を決める
  • 試験日から逆算して、勉強に使える週の数を数える
  • 独学か講座か、学び方の候補を1つ決める

4つとも書き出せたら、取るかどうかの答えはほぼ出ているはずです。迷いが残る時は、まず公式の過去問や出題例を1年分だけ解いてみてください。

手応えがあれば今年、難しく感じたら翌年に向けて準備する、という決め方もできます。どちらを選んでも、勉強した知識は無駄になりません。

旅行業務取扱管理者のメリットでよくある相談

「ほかの資格と比べてどうか」という相談が多い

メリットについての相談では、ほかの資格との比較や、国内と総合のどちらを取るかがよく聞かれます。代表的な3つに答えます。

宅建士とどちらにメリットがある?

旅行業務取扱管理者と宅地建物取引士のどちらにメリットがあるか、という相談です。

2つは、活きる業界がまったく違います。旅行業務取扱管理者は旅行業の営業所で、宅建士は不動産の取引で使う資格です。

どちらが上というより、自分が働きたい業界で選ぶのが自然です。旅行や観光に興味があるなら、旅行業務取扱管理者の方が仕事とのつながりは見えやすいですよ。

国内と総合、どちらを取るメリットが大きい?

国内と総合の試験では、どちらのほうが取るメリットがあるのか、という相談です。

管理者になれる範囲が広いのは総合で、海外旅行を扱う営業所の管理者になれるのは総合の合格者だけです。一方で、国内は科目が少なく、令和7年度の合格率も国内35.6%、総合26.1%でした。

国内に受かってから総合を受けると、業法と国内旅行実務が免除になります。まず国内で土台を作るか、最初から総合を目指すかは、国内と総合の違いを見ながら決めてみてください。

旅行業以外でも活かせる?

旅行業務取扱管理者は、旅行業以外の分野で活かせるのか、という相談です。

管理者として選任されるのは旅行業の営業所なので、資格としての役目は旅行業の中が中心です。ただ、宿泊業や運送業、観光の仕事では、約款や料金の知識が話題になる場面があります。

例えば、ホテルで団体の宿泊を受ける立場なら、旅行会社とのやりとりで約款や取消料の話が出てきます。知識として活かす場面は、旅行業の外にもあるんです。

独学でいくか、講座を使うかの考え方

メリットが分かって「受けてみよう」と思えたら、次は学び方です。市販のテキストと公式の過去問で、独学で合格を目指す方もたくさんいます。

一方で、運賃・料金の計算でつまずきやすい方や、一人だと計画が続かない方は、講座を使うのも1つの方法です。学び方の比べ方は講座の選び方で紹介しています。

旅行業務取扱管理者ガイド

講座を使って効率よく合格を目指したい方へ

旅行業務取扱管理者試験は、法令・約款の暗記に加えて、運賃・料金の計算や地理など範囲が広いのが特徴です。独学で進めるか、通信講座やスクールで質問や模試の機会を得ながら学ぶか。講座の種類と比べ方、資料請求で確かめたい点をまとめました。

無料旅行業務取扱管理者の講座の選び方を見る

試験の日程・受験手数料は各試験の実施機関(JATA・ANTA・観光庁)の案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

旅行業務取扱管理者を取る一番のメリットは何ですか?

旅行業の営業所では、営業所ごとに管理者の選任が必要です。その管理者になれることが、仕事の面での大きなメリットです。

旅行の仕事をしない人でも、取るメリットはありますか?

約款や取消料、運賃・料金の知識は、普段の旅行の申し込みでも役立ちます。ただ、仕事でのメリットに比べると小さいので、興味の強さで決めてみてください。

資格に有効期限はありますか?

更新制度はなく、合格は有効のままです。管理者に選任されると、5年ごとに定期研修を受けることになります。

国内に合格すると、総合はどれくらい受けやすくなりますか?

総合の業法と国内旅行実務が免除になり、約款と海外旅行実務だけを受ける区分Eで受けられます。令和7年度の区分Eの合格率は29.6%でした。

添乗員になるのにも役立ちますか?

旅行業務取扱管理者に合格しても、それだけでは主任添乗員にはなれません。旅程管理研修の修了と実務経験が別に必要です。

まとめ

この記事の要点
  • メリットは、仕事で必要になる・知識が旅行で役立つ・次の資格の土台になるの3つ
  • 旅行業の営業所ごとに管理者の選任が必要で、資格の種類で管理できる範囲が違う
  • 約款・取消料・運賃の知識は、普段の旅行でも役に立つ
  • 国内の合格で総合の業法と国内旅行実務が免除になり、合格は更新なしで有効
  • 判定表で自分の状況を確かめ、取るなら計画と学び方を先に決める

学生のうちに取るかどうか迷っている方は、学生が旅行業務取扱管理者を取るには?も参考にしてみてください。

まずは判定表で自分に当てはまる行を見つけて、受けたい試験の種類を1つ決めてみましょう。

旅行業務取扱管理者ガイド

旅行業務取扱管理者ガイド 編集部

総合・国内・地域限定の旅行業務取扱管理者試験の仕組み、合格率と科目ごとの対策、過去問や講座を使った勉強法、資格を仕事に活かす方法までを、はじめて受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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